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オフショア進出ナレッジ
2015.11.26

社長が教える「ラボ型」オフショア開発を選ぶ際に見るべき5つのポイント

最近嬉しいことに「ラボ型」オフショア開発という言葉が少しずつ一般に広がり始め、ベトナムで「ラボ型」に特化した初めてのオフショア開発会社として事業を始めたエボラブルアジアとしても嬉しい限りです。

少しずつ言葉が広がってくると残念ながら単に「ラボ型」と言う言葉をマーケティング上使う会社もたくさん出てきています。

そんな中でオフショア開発をこれから考えるという皆様にご活用頂ければとポイントをまとめてみました。

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ポイントについてお伝えする前に今更聞きにくい「ラボ型」って何なの?というご説明を改めてしたいと思います。

ラボ型開発とは「専属チーム」で「メンバーを原則固定しながら」「クライアントの担当者」と協力し「中長期間」「アウトソーシングで」開発する手法のこと。原則、価格に関しては「実稼働工数」と「設定単価」をもとに計算される。

もともと、多くの開発契約で用いられる受託型開発と比較するとより差がはっきり分かります。

受託型開発とは「非専属チーム(状況によっては兼務もあり)」で「メンバーは原則流動的に」「アウトソーシング先が仕様に則り」「一定期間」「アウトソーシングで」開発する手法のこと。原則、価格に関しては「見積り工数」と「設定単価」をもとに計算される。

(今回、ラボ型開発の説明なので、あえてそことの違いにフォーカスして受託型開発を説明しています。)

 

つまり、「中長期間ベトナムで開発をやっていきたいな」と思われる会社さんはラボ型開発が向いていますし、例えば「このアプリを作りたいんだよね。(追加開発や運用もほとんどない)」って時などはラボ型開発は不向きだと言えます。

そこから考えるとラボ型開発のポイントは「オフショア開発全般で言えること」と「ラボ型開発だからこそ見るべきところ」を考える必要があります。

まず、オフショア開発全般で言えるポイントからいきたいと思います。

1.ネットワーク、ハード、OS、ソフト面などの「当たり前の環境」が先進国基準で設定されているか?

これは意外と見落としがちというか先進国だと当たり前すぎて項目にあがらないのですが、インターネット回線の状況などが先進国とは別物です。回線が急に止まったり、遅くなったりなどはいまだに起こりえます。そこで先進国並みの環境を実現しようと思うとそれを織り込んだネットワーク設計などが必要となります。

例えば弊社では2社別の通信会社と契約しており、常時一方がバックアップ用の回線となり、自動的にそのときの速度によって本回線が選ばれるようなネットワーク設定になっています。

また、ベトナムでは海底ケーブルの切断により、国外へのインターネットアクセスが全ての回線で速度低下するような事態が年に1−2回、1週間〜2週間程度現れますが、弊社の設計はそういった状況でも通常業務が行えるように設定しています。弊社の取引先が自社でGmailが開けない時に、弊社でYouTubeが見れる状況に驚愕しているということが実際にありました。

また、弊社は自社採用でインフラ、ネットワーク部隊を抱えているので、トラブルが起これば、即時対応が可能です。これがネットワーク保守を外部委託している場合、トラブル発生から早くて数時間、遅いと翌日対応なんてことすら起こってしまいます。

また、一部の会社さんでは未だに海賊版のOS、ソフトなどが利用されたりするケースもあります。ウインドウズ端末でMACのOSが動いているなど日本だと唖然とする光景が広がっているケースもままあります。

想像してほしいのは、そういった環境で仕事をしている従業員のセキュリティや知的財産権に対しての意識の低さです。 その環境の中でお客様のプログラムの知的財産権がなどと言っても、全く信憑性をもって従業員に受入れられないでしょう。

上記のような先進国では当たり前基準のことをきちんと実現できているかは最低限確認すべきポイントだと考えられます。

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2.十分な開発人員を確保できているか(もしくは必要に応じて確保できるか)?

受託の場合はより注意深く見る必要がありますが、きちんと十分なリソースが確保できているか?は品質を安定させる基本的な部分となります。

十分な開発人員が確保できていない場合、リソース不足による残業時間の増大(会社によっては違法なサービス残業が実施されるケースすらあります)が全体の生産性を下げ、離職を生む原因となり、評判を落とすと採用にも影響がでます。

結果として、常に人員不足かつ優秀な人材が離れていく負のスパイラルに陥るケースがあります。そういった会社に発注した場合、当然品質を確保することは難しくなります。

十分開発人員を確保でき、もし不足しても迅速に補充できる体制が整っているか?は非常に重要なポイントの一つになります。

つづいて、ラボ型開発に特有の見るべきポイントをあげます。

3.人材に対して満足いくまで選ばせてくれるか?

会社によっては、人材に対しての細かな要望を伝えることができず、受注側の会社から一方的に薦められた人材でしかスタートできないケースもあります。

ラボ型開発は中長期型「専属チーム」の運用ですので、人材一人一人に対してお客様が要望を伝えられるというのは非常に重要な項目になります。

受託型であれば、メンバーが1名、2名が上手く機能しなかったとしても最終的にプロダクトがあがればいいという考え方もありますが、ラボ型の場合、メンバー全てが満足いく(最低限及第点を与えられる)レベルで稼働していて初めて成功と言えます。

人材の選定になんらかの制限が加えられている場合、稼働が始まってからそれが致命的な失敗を生むこともあります。メンバー選定は、スキル、性格、PMとの相性、メンバーの組合せなどから最適な人材で始められることがラボ型開発で非常に重要なポイントになります。

開発が始まる前のメンバー選定で8割方開発の成否が決まると言っても過言ではありません。

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4.お客様の日本人PMをしっかりとサポートする体制があるか?

ベトナムでのオフショア開発は初めてという方がPMとして進めていくことがほとんどです。私も来たばかりの時はそうですが、生活から始まり、プロジェクトの進行まで日本と勝手が違うことばかりでPMの方を全てにおいてサポートをしてくれる体制は開発成功においても非常に重要です。

日本からのPMの方は外国人との就業経験や海外での生活経験が少ない方も多々いらっしゃり、日本人の感覚で、それをサポートする人材というのが非常に重要になります。

また、特にコミュニケーションやマネジメント面での過去事例などからもたらすことができる的確なアドバイスやサポートはラボの生産性を格段に向上させることが可能になります。

日本人の担当者などPMをサポートしてくれる人材が開発人材以外できちんとアサインされているかは特にラボ型において非常に重要なポイントと言えます。

5.採用力はあるか?

特に拡大期などに非常に重要になるポイントになります。採用力がない会社の場合、どうしても人材の質が低下し必要な時に必要な人材をアサインできないという事態を引き起こします。

また採用難易度の高いリーダークラスやBSEといったコア人材が万一抜けた場合のバックアップの早さにも関わります。

専属チームを運営するラボ型開発においては致命的な欠陥になりかねません。

採用力をみるのに、簡単な方法が3つあります。

・3でもあげたメンバー選定への関与が可能であることをお客様に提示できているか?
・中途採用率は高いか?
(中途と新卒の差が大きなベトナムにおいて非常に分かりやすい採用力の基準になります。)
・月間の中途での最大採用実績はどれくらいか?(特に直近1年ほど)

これらを注意深く見て頂ければまず判断を間違えないと思います。

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いかがでしたでしょうか?

オフショア開発の中でもラボ型開発は一度選んだ会社を変えるのは現実的には難しいといえます。

単純に価格と言った分かりやすいところだけでなく、本当に成功を左右する5つのポイントをしっかりと見極めて、オフショア開発を是非成功させて頂ければと思います。

成功すれば、オフショア開発は先進国では難しい十分な開発人材の確保とコストパフォーマンスの大幅な改善をもたらすはずです。