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オフショア進出ナレッジ
2014.10.01

日本向けオフショア開発におけるベトナムハノイの人材力

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オフショア開発という側面でみると、ホーチミン市もハノイ市も、人材の能力の差はありません。あるのは、どの様な業界でどのような言語を使って開発していたかの微かな違いだけです。良く社内システム、基幹系など仕様が固まっている案件はハノイ、と言う人もいますが、実はその仕様を書いているのは日本人SEや日本に滞在しているベトナム人SEなんですね。
そういった日本人や日本にいるベトナム人が業界経験を持っていて、ベトナムハノイ国内で実開発している者は業界経験保有者とは言えないのが現状です。各国でいくつか有る失敗経験からの教訓ではありますが。

その3.ハノイオフショア人材

ブリッジSE人材

ベトナムに来てよくブリッジSEと名乗る人がいます。しかし、ふつう顧客と現場で対峙した経験が5年も満たない者を日本でもSEとは呼ばないのと同じで、たいていなんちゃってブリッジSEしでしかありません。これは単にプログラムの出来る通訳兼労務管理者兼営業でしかないのです。このことは、サービスを提供する側の大きな課題だと思います。お客様が現実を知ってしまった後、ベトナムオフショア全体に失望してしまうという、残念な可能性もあります。

しかし!ベトナムは今急速に成長をとげている国です。楽しみなのはこれからなのです。今から数年後、日本で経験を積んだベトナム人SE達が、ベトナム本土に戻ってきた時に、本当のブリッジSEが出てくると思います。今は依頼する側も十分にそのことを考慮して見極めを行い、割り切るべきなのかもしれません。

開発者人材像

ベトナムでは、IT人材の教育制度を国策として行っているため、言語特化型の開発者が多いという特徴があります。中には稀に多言語を扱える者もいますが、かなり少数です。また今までは各ユニット単位での開発に携わっている者も多く、統合環境での全体最適という概念がまだ薄いです。しかし、最近では結合環境まで開発範囲が広がっている為、若くて素直で吸収力が有る人材であれば、計画性と全体最適の重要性を認識していくのに時間はかからないと思います。

採用面接にて

色々な国で開発者の採用面接に立ち会っていますが、ハノイの開発者の特徴は、何かしら個人で開発した物を持っていることです。面接の際に聞くと必ずと言っていい程、個人若しくは知人達と作った作品を見せて来ます。確かに自宅での趣味の範囲だから、即採用!…とまでは行きませんが、この探求心はとても共感が持てます。

また、1つの会社での在籍期間に関しても中国やベトナム、ホーチミン市に比べハノイは断然長いのです。ジョブホップでキャリアアップするよりも、一つの会社で積み上げてキャリアアップをする人材が多いと言えます。そしてベトナムでもトップクラスのハノイ工科大学卒業生に、フリーランサーや起業経験者などが多く見受けられます。依頼する内容およびラボ運用では、成功には中長期的で安定した成長が必要なため、長く務め経験を蓄積するタイプのハノイは向いていると思います。

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ラボにて

とにかくハノイの人たち、チームワークはとても良いです。これは採用面接に同席頂いたお客様のお掛けでもありますが。チームの為に自己犠牲精神を持っている人が多い。時にそのチームワークが変な方向に行く事もあるが、それはちゃんと理由を言い聞かせれば、素直に納得してもらえる環境にあります。

ただ問題が全くないとは言えず、まだまだ情報と経験が少ない分、思い込みが激しく頑固な一面も持ち合わせています。これは他のオフショアの国と同じで、論理は通用しない。妥協点を見つけ、面子プライドを潰さない程度でお互いの調整が必要となります。

まとめ

ベトナムは「若く」「素直」「吸収力」のある「特化型」の人材が揃っている。
ことハノイに限ると、「人材の入れ替わりが少なく」経験を蓄積が可能ですが、キャリアアップできる環境を提供する必要があると思います。趣味で作品を作るほど「探求心」を持っていて「独立心」もあるハノイの人材は、これからのオフショア開発の相手として大きな期待を寄せています。