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オフショア運営ナレッジ
2017.04.07

ベトナム駐在者の方からよく耳にするオフショア開発における2つの悩み事

こんにちは。エボラブルアジアの情報統括室というところで社内システム開発のチームマネージャーを担当している鶴見です。以前に僕がラボマネージャーをしていたころに駐在員の方がよくおっしゃっていた2つのお悩みをご紹介させていただきます。それに対する私の考察も述べておりますので、少しでも参考になれば幸いです。

■ベトナム人エンジニアの品質に関する意識が低い

ベトナムチームに対するお悩みで一番多く耳にするのがこれです。
日本人エンジニアは世界的に見ても高い品質意識を持っていると言われていますので、特に初めてオフショア開発に携わった方にとってはストレスを感じるところではないでしょうか。

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弊社エボラブルアジアでは中途のエンジニア採用を基本としているため、同業他社と比較しても技術力の高いメンバーが多く在籍しています。
しかし、品質意識という観点で言えば、未成熟なメンバーも少なからず見られるのが現状です。
そういった彼らの品質意識を高める上で大事になるのは、彼らに品質基準や評価基準、品質目標を明確にしてあげて、理想と現実のギャップを常に見えるようにしてあげることだと思います。
なんだ普通の品質管理だなと思われる方がおられると思いますが、その通りです。日本人に対して行われる品質管理と同じです。

それなのになぜうまく行かない方がいるかと言えば、恐らく過度にメンバーに気を使ってしまっていることが一つの要因なのではないでしょうか。

現実(品質が悪いこと)を伝える時には、
「メンバーのモチベーションが下がらないだろうか。」
「もっとオブラートに包んで伝えたほうが良いのではないか。」
「せっかくメンバーと仲良くなったのに、自分から気持ちが離れてしまうのではないか。」

などといったことを懸念されるでしょう。

自分とは育ってきた文化の違うメンバーに対して、どうやって伝えるか悩まれる気持ちは非常によく分かります。
しかし、私の経験から言うと、成果物品質に悩まれているラボほど、メンバーは自分たちの品質が悪いということ自覚していません。

まずはメンバーへ自分たちの成果物品質の現実をしっかりと理解させることが品質改善の第一歩だと思います。

なぜ、どうして品質が悪いのかを明確に、誠意を持って伝えさえすれば、こちらから提案する対策も真摯に対応してくれますし、彼らから対策案を出してくれることも増えてきます。
日本人、ベトナム人関係なく、プロのエンジニアとして、伝えるべきことはしっかり伝えることが大事です。

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■日本のドキュメント表現があいまい

先ほどとは逆に、日本チームに対するお悩みで一番多く耳にするのがこれです。

日本チームの目線で言うところの、これくらい書けば分かるでしょというレベルのドキュメントは、相手が内容をうまく汲み取ってくれたり、分からないところは相手から確認を求めてくれることで成り立っています。

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しかし、日本語が母国語でないエンジニアにとって、上記を行うのは非常に難しく、できたとしてもコミュニケーションコストが非常に高くなってしまいます。

「オフショアの成果物(アウトプット)の品質を上げるには、日本側からの要求(インプット)の品質を高める必要がある」。

私の経験では、この重要なポイントを多くの日本人エンジニアはあまり意識していないのではと思います。ただ、これは実際にオフショア側に立たないとなかなか意識できないことかもしれません。

そのため、ベトナムチームとしては、このポイントを日本チームにしっかりと働きかける必要があります。
ドキュメントにおけるコミュニケーションロスを減らすための手段といえば、テンプレートや記述ルールなどを充実させていくということだと思いますが、なかなかそういった準備期間が取れないプロジェクトが多いのも実情です。

そういう場合でも、日本人担当者が「カタカナや二重否定は使わない」「依頼の際は、回りくどい表現や丁寧すぎる表現をしない」といった意識をもってもらうだけでも多くのコミュニケーションロスを改善することができます。

大事なのは、分からないことだけではなく、分かりにくいことも含めて、遠慮せずに粘り強く日本側へ伝えてベトナム側に歩み寄ってもらうことだと思います。
そうすれば、日本人エンジニアの意識も徐々に変わり、要求(インプット)品質も改善されるはずです。

 

■まとめ

以上、ベトナムに駐在される駐在者の方がよく悩まれている2つの事例を紹介しましたが、解決するための共通点は「伝える」でした。

・文化の違いを恐れずに、プロとして伝えるべきことは伝える。
・相手の理解を求めるために、遠慮せずに粘り強く伝える。

こうした積極的な伝えるアクションが、オフショア開発を円滑に進めるためのポイントなのではないかと思います。

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